| タラブックス(Tara Books)
1994年、南インド・チェンナイで設立。ボローニャ・チルドレンズ・ブックフェアでラガッツィ賞を受賞した『夜の木』をはじめ、工芸品のように美しいハンドメイド本で知られています。
インドの少数民族と協働し、民俗画家の権利保護に取り組むほか、社会問題を率先して扱い、職人の技術向上に努めるなど、本づくりへの姿勢でも世界的に支持を集めました。
| tarabooks 目次 |
01| 世界を変える美しい本・・・
02| 五感を動かす絵本・・・
03| 本と出会う喜び・・・
Part 1
世界を変える美しい本・・・
タラブックスの創立は今から約23年前。代表のギータ・ウォルフとV・ギータは、フェミニストグループの集まりを通して知り合った。絵本は外国のものがほとんどという状況の当時のインドで、子どもに読ませたい本がないと考えていた二人は意気投合して、タラブックスをスタートさせた。ハンドメイド本ばかりが注目されがちだが、出版物の8割は通常のオフセット印刷本。戦争や災害、環境などの社会問題から、インドの古典やギリシャ神話などクラシックなテーマの再構築、インドのストリートカルチャーなど、扱うジャンルは幅広い。でも、本を作るときには彼らなりの基準がある。
「難しいことをシンプルに、誠実に伝えられる本。知ったようなふりをするのではなく、作り手の思いが十分に伝わって、物事の理解を深められるような本」。
少数民族のアーティストとの本づくりも、その一つ。ゴンド、ワルリー、パタチトラ、ポトゥア……インド各地に古くから伝わる民俗画は今でこそさまざまな場所で目にするようになった。しかし、こうした少数民族のカルチャーは長らくインド社会から捨て置かれてきた。実際、美術というカテゴライズすらされず、インドの美大生ですら知らないということも珍しくなかった。
タラブックスは、彼らの持つおおらかで美しい、プリミティブな絵の魅力を真っすぐに見抜いて(これはインドの社会的コンテクストを考えた場合、簡単なことではない)本にしたおそらく最初の出版社だろう。ただの物珍しい変わった絵では終わらない本。彼らの文化を正しく伝えることができて、人種や民族を超えた普遍性のあるテーマが根底を貫く本。タラブックスはそのために何度でも対話を重ねることを惜しまない。著者と、デザイナーと、職人たちと、そして読者と。彼らはいつでも注意深く耳を傾けて、話を聞く。急いで結論を導き出してしまうことはしない。
世界を変えるのは、発明や革命だけではない。未知の人や物事との出合いを通して丁寧に対話をすることなのだ、とタラブックスの本は教えてくれる。誠実に人と向き合い、対話をすることを怠けないこと。それはたとえ小さくても、少しずつ、確実に私たちの世界を変えてくれる。
Part 2
五感を動かす絵本・・・
「もしあなたが森で迷子になったなら、センバルの木を探せばいいのですよ。黄金のように輝くセンバルの木を」(『The Night Life of Trees』) 人々が眠りに就く夜の森は、そこに宿る精霊や動物たちの時間。木々に精霊、あるいは神が宿るという物語は、洋の東西を問わず自然への畏怖や憧れとして伝承されてきました。これはインド中央部に暮らす少数民族ゴンドの人々に伝わる物語だ。
を世に送り出したのは、南インド・チェンナイにある小さな出版社タラブックス。編集者、デザイナー、経理、ハウスキーピングまで入れても20人に満たない会社だ。印刷工房には約30人。タラブックスのロングセラーヒット『The Night Life of Trees』は8カ国語に翻訳され、英語版だけで発行部数は1万部を超えた。真っすぐで誠実な彼らの仕事から生み出されるのは、この上なく美しい本たち。でも面白いのは本のお話だけではない。
この本を一躍有名にした理由の一つが、紙漉きから印刷、製本まですべての工程がハンドメイドであること。もし、あなたがこの本を手に取ったなら、おそらくは普通の本よりもずっと五感を刺激されることになる。ざらりとした手漉きの紙の手触り、本を開いた途端にふわりと漂うインクの香り、目に飛び込んでくるヴィヴィッドな色、耳に心地よい文章のリズム……だんだんと、しんと静まり返った夜に連れていかれる。気づけば物語の世界に佇んでいて、読み終えたあとは物語と現実の境界線が少しぼんやりして見える。大人になって忘れていた、極上の読書体験だ。
手漉きの紙は、この本のために特別に作られたもので、ざらりとした厚みのある紙。廃棄される古布を原料にしており、黒い紙には黒い服の端切れを使う。そのせいか黒には少し柔らかみがあり、インクの色をシャープに美しく引き立てる。ページごとにムラやシワがあるのも、手漉き紙ならではの個性だ。
Part 3
本と出会う喜び・・・
職人の手でひとつひとつ刷り上げられる工芸品のような美しい本は、わたしたち日本のファンも含め、世界中の人々を魅了し続けている。
タラブックスのハンドメイド絵本は、インドの伝統的な民俗画家によるグラフィカルで色鮮やかな版画はもちろん、版が変わると表紙の画の色が変わることも魅力のひとつである。
刷りごとに木の色が変わり、色々な物語を想像することができます。
重版するたびに表情のちがう絵本たちを買い揃えるのも、タラブックスならではの楽しみかもしれない。
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